ナインティナインの冠番組「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)が、この春20周年を迎える。
当初は夕方の20分番組だったが、今やゴールデン帯で安定した視聴率を獲得できるバラエティ番組へと成長した。
その屋台骨を支える企画「グルメチキンレース ゴチになります!」は毎年、様々な工夫を重ね、マンネリ化を回避してきたようで…?
「ぐるぐるナインティナイン」といえば1994年4月10日にスタートしたナインティナインの冠番組で、同じくナイナイがメインレギュラーを務める「めちゃ2イケてるッ!」(フジテレビ系)より歴史が古い(「めちゃイケ」の前身である「めちゃ2モテたいッ!」がスタートしたのが、1995年10月28日)。
そんな「ぐるナイ」は当初、関東ローカルの20分番組で(日曜16:55~17:15)、最初の3年間はナイナイが若かったことなどもあり、体を張った企画も多かった。
だが“ナイナイ人気”の広がりとともに、1997年4月から金曜19時スタートのゴールデンタイムに進出すると、親子でも楽しめる内容にシフトチェンジを図った。
そして試行錯誤の末に誕生したのが「グルメチキンレース ゴチになります!」(通称:ゴチ)のコーナー。
1998年10月に放送された第1回目の時点では1回限りの空気だったようだが、値段がいくらなのか想像もできないような高級料理を出演者がガチで予想し、敗者が実際に自腹を切らされるというスリル感が人気を博し、コーナーが定着するようになった。
2002年には大きなルール変更があり、ますます「ゴチ」は盛り上がりをみせたようで…?
(以下引用)
最も大きな変化が、02年から導入した1年間で最も自腹額の多かった人が「クビ」になるルール。これで毎回の勝負に加え、残留を巡ったサバイバルレースが年末に向けて盛り上がることに。
しかも、「メンバーにとって一番インパクトがあるのは何かを考えた」と伊藤氏が言うように、メインMCのナインティナインも例外ではない。実際に岡村は「ゴチ」史上初のクビとなり、矢部は今年も含めて3シーズン参加していない。
(引用元:日経エンタテインメント 2014年4月号。伊藤氏=総合演出の伊藤慎一氏)
今ではおなじみの“クビ”ルール。
単回の“自腹”に加え、年間を通して“クビ”がかかることで、メンバーの本気度がより視聴者に伝わる仕掛けになるとともに、年間を通して楽しめる深さを持った。
メインレギュラーのナイナイも例外ではなく、岡村隆史が史上初のクビとなったほか(2002年に最下位)、矢部浩之も3度のクビ(2008年、2010年、2013年に最下位)を味わっている。
※「ゴチ」メンバーの遷移はコチラで。
“クビ”メンバーと入れ替わる新メンバーも好循環を生んだ。
バラエティ番組には縁遠いと思われた俳優・船越栄一郎(2004~2009年)や俳優・上川隆也(2013年~現在)が絶妙なコメントで盛り上げたり、2009年に20時台に枠移動してからはファミリー層だけでなくヤング層も意識したモデル・佐々木希(2010~2011年)や女優・杏(2012年)を投入するなど、意外性のあるメンバーが想像以上のパフォーマンスを披露している。
現在のゴチメンバーである上川隆也、平井理央はどのようにして選ばれたのだろうか…?
(以下引用)
「以前ゲストで出てくれたとき、上川さんは『ゴチ』を純粋に楽しんでいるのと、コメント力が高いのを感じたんです。平井さんは『ゴチ』初のアナウンサーになるし、同業者の羽鳥さんへの刺激にもなると考えて依頼しました」。
(引用元:日経エンタテインメント 2014年4月号)
上川は純粋に食べることに喜びを感じている印象を受けますし、料理の味や食感を的確に述べる能力に長けていることも起用につながった。
平井アナはアナウンサーだけにしゃべりには不安がなかったのでしょうし、同じくフリーアナとして「ゴチ」のMCを務める羽鳥慎一アナの刺激をかきたてる役割も狙っての起用だった。
意外性はあってもしっかりと裏付けがあっての起用であることがわかりますし、上川や平井が披露する新鮮な一面がリスクというよりむしろ「ゴチ」にとっての起爆剤となっていることもうかがえる。
こうした絶妙なキャスティングにとどまらず、「ゴチ」は細かい部分でもルール変更を続けているようで…?
(以下引用)
お土産や視聴者プレゼントを決める「おみやルーレット」を追加したり、Dボタンで視聴者が全員参加できる値段当てクイズも導入してきた。
(引用元:日経エンタテインメント 2014年4月号)
「ゴチ」ではその店で購入してお持ち帰りできる“お土産”にもスポットを当て、これを“お土産代”として“食事代”とは別に支払わなければならないルールがある。
“お土産代”は1位以外のいずれかのメンバーが支払うが、それを決めるのが“お土産ルーレット”で、現在はクビで出番のなくなった矢部が“お土産代”を決める下りを仕切っている。
またテレビリモコンのdボタンで視聴者も参加できるシステムを導入したり、2014年からは各メンバーの自腹額が一定額に達するたびに視聴者にプレゼントが当たる“ゴチレージクラブ”のルールも追加されるなど、マンネリ化を防いでいる。
「ぐるナイ」が20年続き、なお安定した視聴率を獲得できる裏には、年間を通して楽しめる「ゴチになります!」を番組の中核へと成長させ、またそれを長期に渡り機能させるために緻密かつ挑戦的なマイナーチェンジを繰り返してきたことにあるようだ。
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